
サーボプレスの加圧工程では、狙いの荷重で止めたい一方で、実際には停止指示のタイミング差により荷重が行き過ぎることがあります。
本記事では、当社サーボプレス JPシリーズ5 に標準搭載されている、 「スマート荷重停止」 に焦点を当て、オーバーシュート量の抑制と加圧時間短縮を両立する考え方を紹介します。
荷重停止と「オーバーシュート量」の課題
「荷重停止」は、指定した駆動終了荷重を検知したところで止まる動作です。
ただし、検知してから停止指示を出すため、最終的に止まる荷重は指定した終了荷重より大きくなってしまいます。ここではこの超過分をオーバーシュート量と呼ぶことにします。
下のグラフは 8000[N] を駆動終了荷重と設定し、加圧速度 25mm/s としてダイセットばね負荷を押した時の 加圧時間-荷重 のグラフです。
荷重停止条件別(減速なし/減速/スマート荷重停止)の加圧時間-荷重グラフ(終了荷重8000N)
3条件比較:減速なし/減速/スマート荷重停止
終了の条件を変えた3つのグラフを表示しています。
- A:減速無し
加圧速度 25mm/s のまま 8000[N] まで加圧し、8000[N] を検出したら停止指示を出す。 - B:減速
終了荷重の95%、8000[N]×95%=7600[N] を検出した地点から 2mm/s に減速して停止させた場合。 - C:スマート
減速はせず、代わりにスマート荷重停止を「有効」とした場合。
上記グラフで 0.45sec くらいまでは、条件によらず同じ動きとなっています。
異なってくるのは、この後、加圧終了付近です。加圧終了付近を拡大してグラフに示します。
加圧終了付近の拡大グラフ(オーバーシュート量の比較:減速なし/減速/スマート荷重停止)
結果:オーバーシュートを抑えつつ、加圧時間を短縮
A:減速無しを見ると、8000[N] を検出したところから約 300[N] オーバーシュートしてから停止していることがわかります。
B:減速では 7800[N] を超えたあたりから荷重の増加がなだらかになっています。加圧速度が落ちている為です。結果的にオーバーシュート量が 20[N] 程度に抑えられています。
減速すればオーバーシュート量を減らすことができますが、この低速駆動部分に時間がかかり、加圧時間が長くなってしまいます。
ここで、「スマート荷重停止」機能を使えば、オーバーシュート量を抑えながら、加圧時間を短くすることができます。
C:スマートがその結果です。オーバーシュート量を 20[N] 程度に抑えながら、加圧時間は B:減速に比べ、0.1[sec]短くなっています。
スマート荷重停止の使い方
減速荷重率を100% に設定し、スマート荷重停止を「有効」に設定すれば良いだけです。減速荷重率を100%に設定すると、加圧動作は最後まで減速しません。 そして、スマート荷重停止を「有効」にすることで、終了荷重を検知する手前で、設定した終了荷重で止まる停止指示を出します。
JPシリーズ5 PCソフト JP TaS Ⅱ System Designer試算例:加圧時間短縮がサイクルタイムに効く
グラフに示した例では、加圧時間が
B:減速 0.59[sec]
C:スマート 0.49[sec]
となり、短縮された時間は 0.59 − 0.49 = 0.10[sec]
短縮率としては (0.59 − 0.49) / 0.49 = 20% となります。
例えば 50mm のアプローチ、62mm の戻りを加えた作業時間では
B:減速 1.11[sec]
C:スマート 1.01[sec]
となり短縮率としては (1.11 − 1.01) / 1.01 = 10% となります。
また待機時間が 1.00sec とすれば、サイクルタイムは
B:減速 2.11[sec]
C:スマート 2.01[sec]
となり、(2.11 − 2.01) / 2.01 = 約5% の生産性向上が見込めます。
- 「加圧終端の0.1秒」でも、サイクル全体では確実に効く
- 量産ではこの差が積み上がり、日次・月次の生産数に直結します
まとめ:JPシリーズ5のスマート荷重停止が向くケース
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オーバーシュートを抑えたい(品質・金型保護・荷重管理)
ただし、減速でタクトを落としたくない
条件出しを「経験」だけでなく、再現性ある機能で安定化したい
JPシリーズ5のスマート荷重停止は、こうした現場課題に対して、停止挙動の最適化というアプローチで改善を狙える機能です。
「減速でタクトが伸びて困っている」「荷重停止のオーバーシュートが気になる」など、現状の波形や条件を共有いただければ、JPシリーズ5での改善余地を一緒に確認します。
注)スマート荷重停止は エレクトロプレス(JPシリーズ5)、JP5Sシリーズに標準搭載されている機能です。JP-S2シリーズには搭載されていません。




