産業用ロボットと言えば一番に思い描くのは垂直多関節ロボットでしょう。自動車の車体塗装や溶接などの生産ラインでよく目にするタイプのロボットです。
一方で、卓上ロボットはXテーブル上にワークを載せて前後に駆動させる構造のため、大きなワークの取り扱いには適していません。
また、ベルトコンベアに流れてくるワークをピックアップする様な用途にも向きません。
卓上ロボットの特長は、高精度な軌跡制御が可能である点にあります。
この特性を活かし、精密な塗布作業、コテ半田付け、ルータカット方式による基板分割といった工程で活用されています。
卓上ロボットと垂直多関節ロボット 比較表
卓上型と多関節型、それぞれのロボットには得意・不得意があります。
導入前の検討材料として、両者の特長を比較表にまとめました。
項目 | 卓上型ロボット | 多関節型ロボット |
---|---|---|
用途 | 精密塗布、ねじ締め、コテ半田、ルータカット方式による基板分割など | 自動車の塗装・溶接、ピック&プレイス(P&P)、組み立て作業など |
可搬質量 | ワーク:7kg、15kg※ ツール:3.5kg、7kg※ (※ジャノメ卓上ロボットJR4000シリーズ、JR3000シリーズ、3軸仕様) |
小型から大型まで幅広く対応(例:車体を持ち上げる大型機も存在) |
価格 | 比較的低価格 | 一般的に高額 |
設置 | 置くだけで使用可能 | 設置工事が必要 |
設備立ち上げ | 自社での立ち上げも可能なケースあり | システムインテグレータ(SIer)による導入が前提 |
専門知識 | 単純作業であれば、ノーコード(位置設定と条件パラメータ設定のみ)で作成・運用可能 | プログラミングの知識が必要 |
得意分野 | 高精度な軌跡制御を活かした微細・精密作業に適している | 多軸構造による柔軟な姿勢制御により、ツールの角度や向きを自在に変えて作業可能 |
産業用ロボット特別教育 | 不要 ※卓上ロボットは80W未満なので特別教育の必要なし |
一般的に必要 |
※JR3000シリーズ 高可搬仕様では、ツール質量最大15kgまで、ワーク質量最大20kgまで対応可能。
卓上型ロボットと多関節型ロボット、それぞれの特長を理解した上で、自社の工程や作業内容に最適なロボットを選定することが、安定した自動化と生産性向上への第一歩です。
用途や設置環境に応じたロボット選定について、さらに詳しく知りたい方は以下の関連ページもぜひご覧ください。
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